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せかいかいきじつわ「じょぶん」

世界怪奇実話

牧 逸馬

線上閱讀牧 逸馬《世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 251,305 字 · 498 頁

青空文庫

何とかして救われることは出来ないでしょうか」

「規則的に量を減じて往くのが一番のようですね」

「いったい悪魔というものは、教育のある人の上には一層力があるのではないでしょうか」

「無智な者は悪にも単純です」

未知の二人が、電車の中でこんなことを話し合った。この一語一句は、後でホフアが陳述したのだが、「彼」は、ヒル夫人方に下宿する時、「自分は理想の高い信心家である」と言ったように、その他の場合にも、生涯を通じてこの種の宗教的な片鱗を随所に見せている。勿論多くは、滑稽なほど頓珍漢なものだが、根が異常な淋しがり屋だったと言うから、始終何かしら頼っていなければいられない心持ちだったのだろう。こういう宗教的痴呆状態――妙な言葉だが――はこの型の異常者によく見る症状で、真っ暗なたましいの底に、微かな希望と光明を求めて、それによって私かに良心を慰めようとする本能の現れかも知れない。

市外の終点で、ホフアと「彼」は、電車を降りて別れた。その時「彼」は、何を思ったものか、被っていた鳥打帽を脱ってホフアの前に突き出した。

「失礼ですが、これを進呈します。お眼に掛った記念に」