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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁
的なナンセンスは、社会科学的分析を抜きにして、なお且つ歴史的記述をなし得るかのように考えた点に横たわっていたのである。事実また、従来の歴史記述は、可なりの部分、そうした観念的な又観念論的な想像画に他ならなかった。
処で、歴史記述に於て記述されるものは、もはや公式的に分析(又総合)されるべき内容ではない、公式はすでに記述のために用いられているものであって、改めて今更用いられる必要を有たない。公式を用いて分析されたものを更に記述する時、そこに記述されるものは、時代や事件や人物の性格なのである(単に公式によって分析されるものは之に反して歴史の法則だ)。或いは歴史は性格を用いて記述される、と言ってもいいだろう(之に反して歴史は公式によって単に分析されるだけだ)。――性格と云えば云うまでもなく或るものの特殊な具体的特色のことであるから、夫は全く具体的なものでなければならぬが、併し之も亦実は一種の一般者であることを忘れてはならぬ。なぜなら、一般的に通用する程度にまで纏った形を取らないものは、性格を形成したとは云えないからだ。で性格も亦、描写を(今の場合ならば歴史記述を)、具体的に行なうための普遍物なのである。