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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁
この点、公式が分析を具体的にするための普遍者であったことと少しも変らないのである(歴史的社会についての、この公式的分析と性格描写との連関を曖昧にすると、例えば理想型というような一種の性格的法則?の観念などが発生する――M・ヴェーバーの如き)。
公式的分析が目標とする事物の具体性(分析の具体性)と性格描写が目標とする事物の具体性(描写の具体性)とは、決して一つではない。その相違を詳しく分析することは一つの仕事であるが、今はその余裕がない。ただこの点は、却って両者に於ける普遍性の相違の間の方から知ることが出来るから、それを簡単に指摘しておこう。と云うのは、性格なるものが持っている普遍性は、例えばフランス革命とかナポレオンとかいう夫々の実際の性格を離れては、他の事物へ現実には通用しないのであって、もしナポレオンの描写された性格がカエサルにも現実に適用され得るとしたら、夫はナポレオンの性格描写でもカエサルの夫でもなくなって了うだろう。公式の方は之に反して、一つの事物について行なわれたものは、同じ条件の他の事物についても現実にあてはまるものだ。性格が普遍性を有つのは、同じ条件の事物や人物に現実にありのままにあて嵌まるのではなくて、似た条件の他の事物や人物の性格づけに、或る本質的な参照になるということだ。