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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁
処で、古典というものが一応の意味では第二義的な位置に置かれがちな自然科学(又或る程度まで社会科学)になると、古典の代りに公式というものが口を利き出す。そして公式は数学の公式(Formula)に於て典型的な場合を見出すのである。今日社会科学などで用いられる公式という言葉が、数学のこの Formula から借りて来たものであることは注目に値いする。
学術論文は既成の公式を利用出来るし又利用しなければならぬ。二次方程式を解くのに、根の値いを与える公式を使わずに一遍一遍因数分解を工夫する数学者は、決して科学的な数学者ではないだろう。なぜなら、そういう数学者はそれだけ数学計算の時間と又行数とを科学的に短縮する術を知らないのであって、元来殆んど凡ての数学は計算の手続きを組織的に短縮しようとするための科学に他ならないからだ。社会科学や自然科学に於ても大局から云ってこの点に相違はないので、ただ夫々の公式の適用条件が数学などのように簡単に一目瞭然としてはいない迄である。で、今この適用条件を過って公式を応用した場合が、所謂公式主義となるのであって、単に公式を使ったということが公式主義になるのでは決してない。