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しそうとしてのぶんがく
思想としての文学
戸坂 潤
線上閱讀戸坂 潤《思想としての文学(しそうとしてのぶんがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 頁
がなかったという、人間的経験の大事な点での浅墓さを暴露するものに他ならぬ。――文学は凡ゆるものを離れてもあり得るだろう、だが、文学的真理・真実は、生きた社会の大きな働きを離れては、無だ。
真実とは自己との一致なのか。ではその自己とは何か。君の小さな自己的な自己との一致が、なぜ真実や真理の名に値いするのか。
文学をこの社会的本質から見て、即ち文学を一つの文化と見て、文学は科学と一双をなしている。文学(芸術一般を貫く思想)と科学とは文化のただ二つしかない部面であるからだ。私は文学を、科学と対比させずには決して考えることが出来ない。尤も文学を科学からただ徒に区別することは、全く古くさい知恵の一つに過ぎない。そういう調子で、之まで宗教的な俗物は科学と宗教とを、哲学的鈍物は科学と形而上学とを、文学的オッチョコチョイは科学と文芸とを、峻別して来た。無論科学の束縛をどうやったならばゴマ化してはぐらかすことが出来るかという興味からなのである。――だが科学を回避しながら、近代の人間生活に就いて省察しているなどと称するものは、人生の文学的香具師以外の何者でもあるまい。