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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
であった。
攻めるもよい。
叡山を占領するも当然である。
が、焼討ちだの、そんな殺戮をする必要がどこにあろう。
そんな暴挙を敢えてしたら、せっかくの人心は、信長を離れてしまおう。
天下にみちている反信長の陣営では、よろこんで、それをあらゆる機会に悪用し宣布するにちがいない。
古来、何百年、何人も恐れてうけなかった悪名をこうむるのみである。
(――君をあやまる左様な戦にわたくしどもは戦えません)
それが諸将を代表しての三名のことばであった。
もちろんそれを告げるには、臣下として、声涙ともに下るばかりな真心を披瀝してであったが――信長の肚はぐわんと決まっていて、さっきから三名の縷々数百言にも、
(もいちど考えてみよう)
と、いう容子も見えなかった。
いや、むしろ彼の強固な意志を一そう打ちかためてしまったような傾きさえあった。
「…………」
「……退れ。もういわん。もう聞く要もない。そち達が、命をうけぬとあれば、他へ命じる。他の将士も従わねば、信長一人をもってもやる。やらねばならないのだ」
「この山一つ、攻めとるのに、何で仰せのよう暴虐をする要がありましょうか。