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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
伏龍悶動
「なるほど。――この信長を憎しとする敗者、競争者、旧弊の擁護者が、みな自分らの末期をさとって、くさいもの同士、団結してきたな」
「いずれも、亡び去るものの様相には違いはございませんが、軽視はできません」
「もとよりのこと」
「坊主の自白によりますと、なおこの一連の密盟には、甲州の武田殿まで加わっておるやに思われます。その武田家と、京都の将軍のあいだに、近ごろ繁く、密使の交わされていること、双方の肚の中など、思いめぐらせば、御当家は今やまったく、四面楚歌の中にあるかと考えられます。寸刻とて、御油断はなりません」
信長は、黙然、燭を見つめていたが、やや疲れたように、
「勝家、また明日聞こう。法師どもは獄に下げて、しばらく生かしておけ」
と、いった。そして蘭丸をつれて休息の間へかくれた。
伏龍悶動
「よくもいった、四面楚歌の中とは。――信長がこの居城、見まわせば、八方敵ならぬ境はない」
独り居となると、彼は手枕をして横になった。
まだ寝所にはいるには惜しい気もする四月末のよい気候であった。
城下の蒸し暑い夜も、この山上の本丸は、爽涼だった。
「四囲の敵ばかりではない」