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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
両面将軍
深入りした徳川勢は、たしかに、危険は危険な行き方であったが、烱眼な家康が、みずから全局の急所に打った一石だった。
「この一石を見ごろしにするような織田殿ではあるまい」
と、家康も信じていたろうし、信長もたしかにそれは認めていた。
木下隊と前後して、稲葉一鉄の隊も後続した。池田勝三郎の隊も殺到した。
俄然。
戦局はそこから一転して織田軍の優勢となった。朝倉景健の本陣は、五十余町も後退し、浅井長政も退いて、小谷城へ総くずれに駈け出した。
それからは、追撃戦であった。
浅井、朝倉勢の討たれるもの数知れぬ程だった。名ある将校だけでも、細江左馬介、浅井斎、狩野次郎左衛門兄弟、弓削六郎左衛門、浅井雅楽助、今村掃部、黒崎備中、等々々、戦後の織田方の首帳に、豪華な亡命者の名をならべた。
追撃は急だったが、朝倉勢を大寄山に追い上げ、浅井長政を小谷へ封じこめると、信長は、戦後の処理を二日間にすべて終って、三日目にはもう岐阜へさして帰陣していた。――その迅さは、まだ死屍累々と渚に洗われている姉川を、夜々翔けわたる時鳥にも似ていた。
両面将軍
英雄も英雄の質それだけでは、英雄となり得ない。