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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
「殿御自身が、まだ、いずれにしたものかと、お迷いになっておられるからです」
「迷わずにおれぬ。このまま小谷の外城から、ひとつひとつ粉砕して敵の死命をにわかに制せば、浅井長政父子のものは、かならずお市を監視して、炎の底まで、ひき連れてゆくであろう」
「まず、そうなりましょう」
「藤吉郎。そちは最前から信長の心に同意とは云いおるが、至極平然と聞いておる。……なにかそちに策でもあるのか」
「ないわけでもありません」
「では、なぜ早く、信長の意をやすめてくれぬか」
「近ごろ、献策はあまりせぬことに、みずから慎んでおるものですから」
「なぜか」
「帷幕には、他に人も多うございますゆえ」
「余人の嫉みを惧れておるか。それもうるさいことだ。しかし要は信長のこころ一つにある。まっすぐに、所存をいうてみい。……いや、よい策があらば、聞かせてくれい」
「篤、御覧なさいませ」
藤吉郎は指さした。
眼下の――小谷城全廓を、その一指にさしていうのである。
「この城の特質は、三つの曲輪がふつうの城よりも、劃然と、各※(二の字点、1-2-22)独立しておるように分れていることです。すなわち一の曲輪には、大殿とよばれる浅井久政が住み、三の曲輪には、子息の長政どのと、御内室お市の方様やお子たちが住まわれておりまする」