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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
「まことか。……それは」
「なんで殿に、この折、そのような戯れを申しましょう」
「……が。信じきれぬ」
「ごもっともです。その真実はすぐお分りになりましょう。ただ今これへ、一名の僧と、一名の老将を呼び迎えますから、これにてお会い下さいましょうか」
「何者じゃ。そのふたりは」
「ひとりは宮部善性坊というもの。もう一名は京極曲輪をあずかる老臣の一人、大野木土佐守にございまする」
藤吉郎は手を振った。
彼方からひとりの士卒が、草のなかを屈み腰に駈けてくる。近くへ呼んで、何事かいいつけ、
「はやくせい」
と、すぐ追いやった。
そして信長に向い直して、
「ただ今、呼びにやりました。やがてこれへ連れて見えましょう」
と、いう。
信長は意外な面持から解かれなかった。この男のこと――とは充分に信じてもいるが、なお、どうして浅井家の老臣などを、自由にこれへ拉して来るか、ふしぎな念を消しきれなかった。
だいぶ間がある――
そのあいだの座談として、藤吉郎は事もなげに、ふしぎでない理由を打ち明けた。
「横山の城を、殿から賜わってから、間もない頃のことで――」
と、彼は云い出すのである。