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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

だが分別はできてくる。人間、人生の見さかいも備わっていよう。

だから年三十すぎていたら、そなたは、そなた自身の分別で、よい道をえらべ。嫁せともいわぬ。嫁すなともいわぬ。

またもし。

そのあいだに、子を生していたら、若くあろうと、年とってからであろうと、子を主として将来の道をはかれ。女の綿々な愚痴にまような。何ごとも、母として考え、母として分別をとれよ。

「……そうだ、ひと身を思いやるほうが辛い。兵家に稀なことではない。お市の方は生きていてよいのだ。長政は当然、ここで死ぬこそ華であろう」

ひとり呟いて、また一杯、唇にふくんだ。その一杯から、ようやくふだんの味覚が感じられて来た。

いつか藤吉郎は眠っていた。といっても横になってではない。坐ったまま――あたかも坐禅でもくんでいるようにである。こくりこくり、時々あたまを低く垂れる。

彼は眠ることが、上手であった。

人いちばい働くには、人いちばい有効で短い睡眠をとる必要がある。

逆境中、それを心がけていたのが、やがて戦陣生活でいよいよ鍛錬され、いまでは眠ろうとすれば即座にどこでも眠れるし、その長短も、その場所も、随時随時に居眠る修養ができていた。