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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
「どうした? 重治ッ。……これはいかん、重治を抱きおろせ」
と、あたりの者に命じながら、自分も鞍をとび下りてしまった。
――実は。
彼と駒をならべて来た人々はみな気がつかずにいたわけのことでもない。
半兵衛は、鞍の前輪にかがみこんだまま、手綱を腹で抑えているように、駒のたてがみへうつ伏していた。
――が、今し方まで、主人の藤吉郎と、睡とうてならないなどと、元気に話を交わしていたので、ほんとうに居眠ってしまったものと、怪しみもしなかったのである。
「や。やッ?」
「どうなされた」
藤吉郎にいわれて初めて、同僚の人々も愕いたのであった。――抱き下ろそうとして寄って見た時は、呼吸もしていないかと思われるほど、竹中半兵衛重治の顔は、蒼白となっていて、眉はくるしげに二すじの針をよせていた。
「御発病だ」
「これは重い。火のようにお熱がある」
抱えおろす家臣たちの手へ、藤吉郎はそばから、
「そっとせい。……そっと、そっと」
自身の武者羽織を脱いで、草のうえに展げ、その上へ共に手を添えて、静かに寝かした。
半兵衛の病弱は、誰よりも藤吉郎自身がよく知っている。――思えば無理をさせた、と、今さら悔まれもする。