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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

寥々たる人数にすぎないが、彼のいる所、すでにそのまま総司令部である。

「於市、於虎」

「はいッ」

「床几を持って来い。そして二人ともこれへ上がって来い」

駒をすてた彼は、小高い丘へのぼっていた。そして床几に腰をすえると、前方の火の手に面を赤々と焦がしながら、しばし唇をへの字にむすんでいた。

微塵に似た火の粉の柱が、新しい黒煙と共に高く噴いた。

城門の一角が燃え落ちたらしい。

寄手は、それッとばかり、一団になって、遮二無二、火と煙をくぐって、中へなだれ入ろうとしていた。

突然、うしろから思わぬ猛兵が突撃したのは、その時だった。

「裏切りかッ?」

寄手の将はうろたえて、そう呶鳴ったほどである。

何ぞ知らん、藤吉郎直属の城兵であろうとは。

血戦は、火雨を浴びながら展開された。

にわかに、後を向いて、ふいの敵を迎えた浅井軍が、戦闘の当初からすでに乱れ立っていたことは当然だった。

城中の兵は、

「味方だッ」

と、告げ渡って、

「殿がお帰りになったらしいぞ。助けによってこの城が保ったなどと、城外の味方に笑われるな」

どよめき立って、西の城戸をひらき、また、火焔をついて躍り出る者もあったりなどして、完全に、寄手の兵をふくろ包みにしてしまった。