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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

けれど肝腎な京都、安土方面のうごきは、皆目知れない。交通が遮断されているためと、彼は観察を下していた。

それらの詳細も知りたいはもちろんであったが、さし当っては、帰国までの通路にあたる地方の領主の志向と、土匪の出没や一揆の有無などが重大だった。その形勢によって、帰国の道を選ばないと、みずから求めて網に入る魚となる惧れが多分にあるからである。

「宇治方面は、まださして騒がしい動きも見えませぬ。あれから信楽へ出られ、伊賀へとかかれば、おそらくまだ明智勢の手は廻っておるまいかと察しられます」

午まえに聞いた物見の言も、いま戻って来た物見の報告も大体に同じであった。家康は、それに対して、

「郡山の筒井順慶は、なお奈良に留まっておるか、奈良を出た様子か」

と、糺した。物見は、

「なお奈良に滞在したままでおりますが、家臣の井戸良弘どのは、筒井家を代表して、光秀と会うために、京都へ入ったとか、行くとかいう噂がありました」

と答えた。

「そうか。よろしい」

その程度で、物見の男は退けた。そして家康はまた、左右の重臣たちと額をよせて、ひそかに協議し始めた。もとよりこれからの道すじをどう取るかのことだったのであろう。