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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

饗宴

佐柿弥右衛門もやがて退った。

秀吉はひとり燭に対していた。こよい弥右衛門に託して安土へ急がせた書簡は、急遽、信長自身の来援をこの地に仰ぐためのものだった。

孤城高松の運命は、もう網の中の魚に似ている。

それを救うべく、毛利輝元、小早川隆景、吉川元春の総将から全軍も、挙げてこれへ会同している。

時なる哉。中国の覇業は今、この一挙に完成しよう。秀吉は、この壮観を、信長にも見せたいと希った。また、この重大なる勝敗のわかれを、決定的に確保するためにも、信長の出馬を仰ぐことが万全と信じたのであった。

饗宴

――一転、眼を移して、安土の府のきょうこの頃を眺めるならば。

ここの城市の景観と、中国の戦陣とは、一脈の繋がりもない別天地かと、疑われるほどな相違がある。

香りの高い新鮮な文化。

それに相応しく華麗豪放な往来人の姿。燦爛たる大天守の金碧を繍いつづる青葉若葉、――ここでは中国に見られたあの泥土の闘いも人の汗も、遠いものにしか考えられない。

五月十五日から、十六、十七、十八、十九日の頃といえば、まさに高松城を孤立化するために、あの大築堤を前提とする水攻めの計が実行にうつされて、秀吉以下、黒田官兵衛その他不眠不休に、その工を督していたあいだである。