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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

叡山復興

これこそあのじゃじゃ馬殿の恐るべき例の策智だ」

「つつしめ。じゃじゃ馬殿とは、誰をさして?」

「わが殿を見れば人前でも、きんか頭きんか頭と常に呼ばわるあの信長公のことです。そのじゃじゃ馬時代から左右に輔佐して、今日の安土の大を成さしめた織田家の功臣林佐渡どのといい、佐久間父子といい、ようやくその地位封禄に酬われる日にいたれば、たちまち些少の罪をとらえて死に処し、或いは追放さるるなど――あのじゃじゃ馬殿の奥の手は、いつも追い落しときまっておるのだ」

「だまれ。右大臣家にたいして、恐れ多い雑言。そち達と同席はできない。立て、立て」

ついに左馬介も怒って、こう叱りつけたとき、人が来たのか、病葉が散るのか、かすかな気配が庭に聞えた。

叡山復興

敵性人は絶対にいないはずの廓内でも、防諜上には、日夜細心な警戒を怠っていない。これだけは例外なく、どこの城も同じといえる。

茶室といえ露地やそこらの附近には、庭見の侍がかならず佇んでいた。――今、にじり口の外まで来て、沓ぬぎの前に額ずいた庭番はそれであろう。一通の書面を内なる主人へ手渡して後も、やや久しいあいだ蟇のように身うごきもせずそこにひかえていた。