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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

備中に入る

宗治は、途中、間違いを生じてはならぬと、家臣三名を添えて、前線の境まで送らせた。

備中に入る

往復とも、使者の一行は、眠らずに帰って来た。

岡山へ帰るとすぐ、官兵衛、彦右衛門のふたりは、秀吉のまえにあった。

「招降の儀は、不調に終りました。さすが宗治の決意は、固うござります。これ以上、いかにお手をくだいても、談合は無用と存ぜられます」

清水宗治の云い分なども、つぶさにそのまま、秀吉に達した。

使いの返辞は、平凡がよい。そのあいだに使いの者の主観や感情の混入するなく、ありのまま、有体の報告が、最上とされている。

「さもあろう」

秀吉は、意外ともせず、ひとまず眠るがいい、疲れたであろう、そち達、一睡の後、あらためて寄ろうと云った。

「では、休息して、ふたたび参りまする」

二人は、秀吉の居室を退る。

秀吉はなお、一隅に、これも眠たげに畏まっている虎之助、市松を見て、

「両名」

「はい」

「何を見て来た」

「敵中、いろいろ、見て参りました」

市松の答えである。

虎之助は、正直に、

「どこへ眼を注いでも、さして敵の気配は窺えません」

と、いった。

秀吉は、そのいずれも、是とも非ともいわず、