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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
波波波
……明智の与党か。織田の衆か」
――いずれ変を知った近郷のさむらいが、家の子を伴って、戦場へいそぐものと独りぎめして、四郎次郎は身を畦の横へ避けていた。
すると、通りかけたその隊の中から、思いがけなくも、大将らしい者が、彼へことばをかけた。
「四郎次郎ではないか。どこへまいる」
ひょいと、畦から仰ぐと、それは彼がこれから今日の大変を今日のうちにも告げ知らせたいと、こうして急ぎつつある意中の人、徳川殿の身内でも、錚々たる直臣のひとりだった。
「おう、本多様でいらっしゃいましたか。あなた様こそどちらへ」
「京都までまかり上る」
「では、本能寺へ」
「いかにも」
「どうしてそのように迅くお知りになりましたか」
「知ったかと?」
「今暁の変を」
「はて。……四郎次郎、はなしが遠い。もっと寄れ」
本多忠勝はさしまねいた。
はなしの辻褄があわないので、さてはまだ知らないなと思ったので、四郎次郎はすぐ彼の鞍わきへ寄った。そして声をひそめて、
「信長公にお会い遊ばすおつもりで行かれますか」
と、訊ねてみた。
「そうだ」
忠勝はじっと四郎次郎の顔を見ながら、その眼の中のものを何とは知らず、ただこれは何事かあったなという予感を持って読みとった。