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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁

青空文庫

61 火星行

「博士、丸木艇はどうしましたですか」

先生は、それをたずねた。

「丸木艇は、さかんに逃げていくわい」

「逃げていきますか。どこへいくのでしょうか」

「さあ、今のところでは、なんともわからないが、多分、火星へ戻るかもしれないよ。君は無電を注意していてくれ」

「はい。どこの無電を……」

「丸木艇が、やがて、火星と通信するかもしれない。それを、こっちでも、ききとってくれ。何か、参考になることがあろうからなあ」

「はい、わかりました」

博士は、先生をガス砲から無電機の方へ、うつしたのであった。

千二の顔が、博士の方へ向いた。

「博士、ぼくは、どうしますか」

蟻田博士は、千二の方をみて、にっこり笑い、

「千二。お前、髪床やさんになってくれぬか」

「えっ、髪床やさん」

「そうじゃ。丸木艇においつくまでには、まだちょっと時間があるから、お前、わしの後へ廻って、髪をつんでくれ」

博士は、妙なことをいいだした。

「博士、おしゃれをするのですか。ぼくには、髪床やさんは、できません」

「なあに、わけなしじゃ。ここに便利な電気鋏があるから、これでぐるぐるとやってくれればいい」

成層圏のとこやさん――千二は、このへんな仕事を言いつかって、博士のうしろに廻った。