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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

線上閱讀海野 十三《火星兵団(かせいへいだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 頁

青空文庫

62 怪しい影

その時、博士は、めずらしく座席から、立上った。

「博士、どこへいかれます」

「おお、わしは、ちょっとここを留守にするよ。新田、お前、しばらくここをあずかっていてくれ。すぐに戻ってくるから」

「承知しました。しかし博士は、どちらへ……」

「ちょっとした用事じゃ。すぐ戻る」

博士は、行先を言わないで出ていった。

62 怪しい影

博士が、出ていって、部屋には、新田先生と千二との二人きりになった。

「先生、博士は、どこへいかれたんですか」

「さあ、どこだかなあ。博士は、ことさら返答をさけたようだ」

「髪をつんだり、座席を立ってどこかへいったり、なんだか博士の様子が、へんですねえ」

「そうだね。へんだと言えば、へんだが、まさか、まちがいはあるまいと思うが……」

先生は、そう言うよりほかなかった。

二人は、しばらくだまっていた。

「ねえ、先生」

「なんだ、千二君」

「博士は、はじめから火星へいくつもりでは、なかったのでしょうか」

「はじめから、火星へいくつもり? どうしてだい」

「つまりですね、地球は、あと二、三日したら、モロー彗星に衝突されて、こわれてしまうでしょう。だから、博士は、粉々になる地球の上にいて死んでしまうのはいやだから、その前にこの大空艇にのって地球をはなれ、火星へいくつもりじゃなかったのでしょうか」