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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁
「拙者なんとかいたしましたかな」
「……いいえ別に……でも……あのう……」
「あのう……ハイ……あのう……それから……」
「妾の心をお汲みくだされて……」
「エヘン!」
とひどい咳をした。
でも梶子は一生懸命に、
「恋を……想いを……妾の想いを……」
この時備前屋の方角から、爆発の音が幽かに聞こえた。
素破や! と民弥は半身を起こした。
梶子も思わず耳を立てた。
とまたも爆発の音がした。
(さてこそ!)
と民弥はいよいよ思った。
(表門に仕掛けた地雷火と、裏門に仕掛けた地雷火とが、つづけざまに爆発したらしい!)
間もなく備前屋の方角から、喧騒の音が聞こえて来た。
(いよいよ火事になったらしい。……同志の方々討ち入ったであろう)
民弥は武者ぶるいを感じて来た。
と、何んという奇怪なことか、この部屋の中へ濛々と、煙りが侵入して来たではないか!
「や、煙りが! ……どうしたのだ!」
と、民弥は床から飛び起きた。
梶子も驚き床から起き、
「まあどうしたのでござりましょう」
こうは云ったもののすぐにも民弥を、口説き落として自分のものにしようと、決心をした時だったので、こんなことで二人ながら起き上がったことが、どうにも残念でならなかった。