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ねこののみとりぶし

猫の蚤とり武士

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁

青空文庫

と、霜降小平は云い切った。

と、源兵衛も負けてはいず、

「拙者も今後霜降氏とは、行動を一緒にいたしますまい。……拙者はこれより彼奴らの陣所へ――小屋へ攻めかかり陥落させ申す」

と、威猛高に怒号した。

「では我々は加藤氏と共に……」

「いや拙者らは霜降氏と一緒に……」

と、同勢も二派に別れてしまった。

やがて間もなく紀州藩士が、焚火を後にし林を分け、海岸の方へ下って行くのと、小屋の方を目ざして潜行して行くのと、二組となって散ったのが見られた。

加藤源兵衛とその手の者とは、小屋の近くまで忍び寄った。

とどうだろう依然として、篝火は盛んに燃えており、その上元気よく鼻歌をうたい、鋸や、鉋や斧や槌などで、木を伐ったり板を削ったり、釘を打ったりして建築をしている、ノンキな物音が聞こえて来た。

源兵衛たちは胆を奪われた。

(何んという大胆な奴らだろう)

(これもあるいは詭りかもしれない)

酒と女と飯さえあれば

いつも極楽島ぐらし

海は夕焼林は小焼

女房潮やけ子は日焼

霜降小平が手の者と一緒に、海岸まで走って上って見れば、二隻の帆船は影もなかった。

「どうしたのだろう?」

「合点いかぬ」