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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《猫の蚤とり武士(ねこののみとりぶし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,496 字 · 368 頁
卿が江戸表へやって来たのは、京都の公卿衆が古来の習慣の、典籍や和歌の研究ばかりに、安逸の日を送るのを廃し、ひそかに兵学や武術等を学ぼうと、鷹司関白家をはじめとし、多くの公卿衆がよりより集まり、その実行にとりかかったのを、京都所司代が耳に入れ、これを幕府へ通達した。
ということを公卿衆が知って、今にも江戸の幕府方から、問いただしという形式の下に、一大弾圧が来るかもしれない。――という不安で怯え込んだ。
心痛したのは鷹司関白で、ひそかに親しい姉小路卿を招き、どうしたものかと相談をかけた。
「では私が私人の資格で、関東へ下向仕り、諸閣老方にお目にかかり諒解を得ることにいたしましょう」
こう姉小路卿は関白家へ云った。
その結果江戸へ来たのであった。
姉小路卿の外交手腕は、諸閣老方の感情を柔げ、
「将来はそのことなきように」
と、こういう注意があったばかりで、京都方に対して、それ以上に何ら交渉しないことになった。
上々首尾の下に姉小路卿は、諸閣老においとまを告げたのである。
最後にいとまごいに行ったのは、松平伊豆守のお屋敷であった。
智恵伊豆と呼ばれ剃刀と呼ばれる、聡明達識の伊豆守は、今回の事件では姉小路卿に、もっとも好意を寄せた方で、めでたく解決のついたことを、自分のことのように喜んだ。