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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁
お染は掌を返して、口許へ持って行きました。よっぽど笑い度いのを我慢した様子です。
「念のため、家の中を見せて貰います」
「どうぞ、御自由に」
お染は少しツンとして、自分の部屋へ引取りました、銭形平次の執拗な疑いに対して、矯慎を発した姿です。それは怒った孔雀のような、不思議な気高さと華やかさを持ったものです。
平次は番頭の嘉七に案内させて、ざっと家中を調べてみました。二階への階子段は一つで、その上に休んでいる米吉は、階子段の下の六畳に休んでいる嘉七と春松に知られずに、夜中便所へも起きられないことは確かでした。
内儀のお染の部屋は、階下の一番奥の六畳で、一応どの部屋とも掛け離れて居りますが、平次はその部屋の外に、無用な階子が掛けっ放しであり、それを登って、庇伝いに行けば、米吉の寝て居る二階六畳の窓に、わけもなく達することを発見しました。
「八、あの庇から向うの窓へ行けるだろうか」
平次に声を掛けられると、階子から庇を渡って、米吉の部屋の前まで行って、変な顔をして戻って来た八五郎は、
「庇の上は鎌倉街道だ、散々苔が踏み荒されて、二階の窓は外からでも格子が外れますよ」