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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁
二
「あとは?」
「女物と男物が、だらしもなく交って居ましたよ、お比奈坊、顔の造作や物言いはひどく片付いて居ますが、世帯の方は一向片付きませんね」
「女房には不向じゃないか」
「ヘッ、片付けの方は、あっしがやります」
八五郎は顎を撫でるのです。
「おや、山之助が帰ったじゃないか」
二人は急に口を緘みました。気が付くと路地の中へ、少し疲れたような山之助が、ナヨ/\と入って来るのでした。
二
その翌る日、平次は与力筆頭笹野新三郎の八丁堀役宅に呼出されて居りました。
「平次か、忙しいところを気の毒であったな、実は困ったことが起きたのだ」
縁側に平次を掛けさせて、近々と煙草盆を持って来た笹野新三郎は、その頃漸く四十になったばかり、家代々の与力ですが、当代の新三郎はわけても闊達で聡明で、銭形平次とはよく馬が合ったのです。
「ヘェ、どんなことでございましょう」
平次は膝に手を置いて次を待ちました。
美しい秋日和でした。
「外でもない、此間から、南の御奉行所に、何んとも素性の知れぬ者が出入するという噂のあることは、知って居るであろうな」
「存じて居ります。向う柳原の八五郎のところへ押入った、武家風の泥棒が、御用の提灯と御奉行所出入商人の手形を盗んで参りました。