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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁
五
「ひどい事をするな、お前は」
「男姿だから、ふざけた振りをしてやりゃ何んでもありませんよ。女なら尻を捲られると、キャとかスーとか言っていきなりペタリと坐るが、野郎なら、ジッとして居て怒鳴るでしょう――此野郎、ふざけた事をしやがるとか何んとか」
「呆れた野郎だな」
「安心して下さい、ありゃ確かに男ですよ。毛脛が大変で――その上切り立ての犢鼻褌をして、威張って居ましたよ」
八五郎の説明は途方も無いものでしたが、この冒涜行為も、相手が確かに男とわかっては、平次の神経を痛める程の事件でもありません。
五
平次は先ず吉原の巴屋へ行って訊きましたが、女将は、
「あのお月見の晩、元の薄墨華魁からの使いで、お酌を二人本郷の吾妻屋さんへよこして貰い度い、どうせ泊めるから、遅くなっても心配しないようにというお話でしたが、一人は病気で出られなかったので、お袖というのを一人だけ本郷へ駕籠で送りました」
という思いも寄らぬ挨拶です。
そのお袖というお勘に逢って見ると、十五、六のなか/\才気走った娘で、
「向うへ行って見ると、私より二つ三つ年上らしい、もう一人のお酌が居りました。柳橋から来たということで、自分でたよりという名だと言って居りました。