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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁
三
平次もひどく興奮して居りました。誰が犠牲者になるかわからないような殺人計画は、その目的は何んであろうと、全く許し難いような気がするのです。
三
家の中は、大変な騒ぎでしたが、どうにかこうにか、帰す人は帰し、休ませるものは休ませ、一段落になったところで、平次は番頭の弥八に引逢わされました。
四十前後の平凡そのものと言った男、少し青瓢箪で、口が重くて、一向に話の埒はあきませんが、さすがに大家を支配して居るだけに、何処かに確りしたところはありそうです。
「大変なことだったな、番頭さん」
「ヘェ、飛んだことになりまして、誠に相済みません、災難には違いありませんが、何んとお詫びを申上げてよいやら」
などとモゾモゾして居る人間です。もっともこの騒の中に処して、巧みに手順をつけて行くのは、養子の品吉でした。
名前は妙に優しく聞えますが、背が低くて、横幅が広くて、顔は?――平次も八五郎もこの男の人相には圧倒されました。先刻から奉公人達や近所の衆が「鬼の面」「鬼の面」と言って居たのは、間違いもなく此男のあだ名だったのです。
お能の面に「見」というのがあります。眼をクワッと見開いて、鼻も口も大きく、眉は釣り、顎は張って、精力と野性と、暴虐とを象徴したような、それは恐るべきマスクですが、養子の品吉の顔はまさにこの「見」