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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁

青空文庫

「なる程ね」

「味噌汁に毒を入れたのも、あの味噌汁に中てられた一人に違いないと俺は思ったよ。お絹を刺せるのは、どう細工をしても、二階から庇伝いに来た与之助の外には無い」

「ヘェ?」

「直次郎はお絹に小当りに当ったが、ひどく嫌われた腹立ち紛れ、与之助に誘われて桟敷の一方の縄を切っただけさ。あとで恐ろしくなって、逃出そうとしたことだろう。与之助は人間が太いから、直次郎が口を滑らす前に、きっと殺すに違いあるまいと思ったから、お前に気をつけろと言ったのだよ」

「ヘェ、驚きましたね、そこで品吉は?」

「あれは江戸一番の良い男さ、いずれお夏と一緒になって佐渡屋を継ぐことだろう。顔を見ると『鬼の面』だが、心持は仏様だ、お夏のような賢い娘が、夢中になるわけだよ、――八ももう少し男が悪いと、女の子が夢中になるんだが、生憎男が良過ぎた」

平次は又話を八五郎へ持って行きます。

「ヘッ、生憎、お夏のような綺麗で利口な娘が居ませんよ、ヘッ」

八五郎は何んとも形容のしようの無い擽ぐっ度い顔をして、長んがい顎をツルリと撫でるのです。