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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控 鬼の面(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 130,082 字 · 257 頁

青空文庫

「これは伊保木様御使の方で、あっしは町方の御用を承って居る明神下の平次でございますが」

平次は丁寧に挨拶しました。

「あ、銭形の親分か、いろ/\手数をかけたそうだが」

「飛んだことで」

「私は用人の川村左馬太と申すものだが、伊保木家もことごとく閉口して居られる。事公になれば、若様一人のお命では相済まぬ、相成るべくは、このまま内聞にいたして貰い度いが、どうじゃ。早速急病にてお隠れということにして、公辺の屈けを済まし、その上で、いずれは親分に、御挨拶も御礼の沙汰もあろう」

川村左馬太は、当り前のことを言う調子でヌケ/\とこんな事を言うのです。

「あっしは町方の御用聞で、別に武家方の内輪事に立入る筋はございません、が、御覧の通りの野次馬で、何処からどう御目付の御耳に入らないものでもございません、その時うるさいことの無いように、有りのままお届けになっては如何でございましょう――飛んでもない、あっしにお礼など、そんな物をお受けするわけには参りません」

「まァ、そう堅いことを言わずに、頼むぜ、平次親分」

などと、川村左馬太は、平次の肩をポンと叩くのでした。

「では、一つだけ伺いますが、御屋敷では金太郎様が江島屋の娘のことで夢中だったことを、御存じは無かったのでしょうか」