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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

再縁先の一条大蔵卿成長(参議忠能の子)という男も、そのこと以外には、ほとんど史書に名を見ない。

また奥州の金商人吉次(一書ニハ五条橘次末春)という人間の素姓も不明である。秀衡との関係などは、皆目、証するものがない。その他、牛若脱走の身辺には、深栖三郎光重とか、その子陵助頼重などの源氏党がいたように、諸本には見えるが、これも史実というには足らない。弁慶に至ってはなおさらで、五条橋は六波羅聚落の鼻っ先であるから、いくら小説でも、現代の読者の前には、出しようがない。(二六・一一・四)

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じじつをいうと、私自身、すこし紙上放浪がしたくなって来たらしい。古典・平家物語では福原落去から壇ノ浦の終わりあたりにならなければ、都以外に余り話が出てゆかない。いわば平家時代の洛中洛外記である。ところが、さきに読者諸氏から寄せられた平家村史料でもわかるように、平家の棲息は、全日本にわたっていたのである。「新・平家」を書くばあい、古典・平家の都中心に拠る理由はすこしもない。

古典・平家ばかりでなく、盛衰記やその他の諸本にしても、わりあいに、当時の関東は書かれていない。