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ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 新平家(ずいひつ しんへいけ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 213,575 字 · 424 頁

青空文庫

義経のことをよく“破壊の英雄”というが、ほんとの“破壊の先駆者”たる役割を演じたのは義仲であったとおもう。

木曾と平家との北陸戦は、有名な“倶利伽羅の合戦”を境として急角度に革命の達成を告げ、平家都落ちの悲劇を、平家の地上に現出して来る。昔も今も、無常迅速の感は深い。

敦賀、倶利伽羅、安宅ノ関あたり、それらの北陸平家史蹟は、一昨年の秋、ひと巡り見てあるいた地方である。しかし自分には、それらの地方戦記よりも、むしろ義仲の入洛後における軍政振りとか、彼の私生活の急変などに、より多くの興味を覚える。今昔の相違はあるが、多分にきのうの旧軍部と似通う作用や、また共通の性格が、そのころの入洛軍にも、演じられているからである。(二八・九・六)

*

寿永二年は、平家最悪の年といってよい。戦うごとにやぶれ、戦うごとに、衰亡を深めてゆく。一朝のばあいに会しては、疑わしいほど脆い平家的性格が、随所に表面化されてくる。

東海の富士川でも、北陸の倶利伽羅でも、なぜか平軍はおなじ形の負け方を繰返した。状勢の誤認と油断と狼狽の三つが、平家大敗の原因とされている。