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うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《上杉謙信(うえすぎけんしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 頁

青空文庫

「この越後、わが上杉軍、すべての屈辱とは考えないか」

「これが、坐視していられるか。徒らに騒ぐのではない。腑抜けな、ただ計数的な、腰のよわい老臣衆へ、勇気と猛省を与えにゆくのだ。決断をうながしに行くのだ。なぜ、それが無用か」

と、つめ寄った。

弥太郎が、ふたたび、

「無用だ」

と、断じていって坐り直すと、

「まだいうか」

と、中には、太刀をつかみ寄せて、眉に険を示す者もあったが、弥太郎は箇々の顔を箇々には見ずに、全体へ向って、極めておっとりと説いた。

「まあ聞け、落着いて。――過日来の御評議は、われら末輩には知るよしもないが、およそ興亡に関わる大事な軍議が、老臣の衆だけで決定されるはずはない。かならず君前で行われ、君前に於いて一決した御方針にちがいなかろう。――さすれば、甲州へ使者を送るも、和議を求めるも、お館のお旨ではないか。謙信公の御方寸ではないか。貴公らは、君意にたいして不平を鳴らすか」

「いやその君意を晦うし、いたずらに無事を祈って、弱音を吐きならべたものこそ、老臣の一部にちがいない。そのために」

「ばかをいえ」

と、弥太郎は、衆口を圧し伏せて、

「さむらいが、命をさしあげて、お仕え申し上げている御主君。