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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

線上閱讀正岡 容《圓太郎馬車 正岡容寄席小説集(よせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 147,226 字 · 295 頁

青空文庫

ついたまらなくなってそういうときには、そこらのおでん屋へ飛び込んでいき、キューと湯呑でお酒をやることがしかたがなかった。

一杯が二杯、二杯が三杯。

だんだん今松のお酒は強くなっていった。

一週間ほど続けて毎晩飲んでいるうちには、まったく見違えるように強くなり、もうちっとやそっとでは酔わなくなってしまった。

それには二つ目になり、早く身体の空くこともいけなかった。では遅くまで二軒目の楽屋に居残って皆の噺を聴いて勉強していればいいのだけれど、今の今松にとって細目に開けてある楽屋格子へつかまってジーッと高座を見ていることは、とりもなおさず高座から流れてくる落語がいつか新内に、とぼけた落語家の雁首がそのまま白い細ッそりしたあの横顔に、居所変わりとなってゆくということに他ならなかった。

とても寄席にとどまってはいられなかった。

持ち場をすますと、そこそこに今松は楽屋口から飛び出した。

そうしては、汚い屋台市の暖簾をくぐった。

欠け茶碗の冷酒を、グイとあおった。

しかし肝腎のお酒は舌の上では少しも美味しくもなんともなく、胸から腹の底へ下りていったとき、初めて火を燃やすようななにかが身体中へ浸み渡った。