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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
季節とすれば、狩には遅い。だが放鷹が目的ではない。君臣十騎ばかり徒士一隊をつれて、一日、山野を駈けあるいた。
帰途――
祝部の村落までかかると日が暮れた。村民は戸ごとに篝を焚いて領主の通路を照らした。そして軒端軒端の下にみな土下座していた。
「待て。前の者」
前駆の家臣をよびとめて、家康は駒を止めた。
道のかたわらに、一戸の旧家らしい軒が見える。夜目にも白髪のわかるほどな老婆が顔をあげていた。何か、粗相でもあったのかと、村の人々は眼をそばだてた。
「……何か?」
と、家臣たちも怪しんだ。見れば家康は鞍を降りて、そこの軒先へ歩み出していたからである。
「老婆。――そもじは今、わしのすがたを見て、嗚咽したであろう。にわかに泣きじゃくった声が、ふと、わしに聞えた。……なぜ泣いたか、わけを聞かせい」
近習の者があとから寄ってゆくと、家康は、腰をかがめて、せむしのように平伏している老婆へ、やさしく訊ねているのだった。
「…………」
老婆は顔をあげ得ない。いつまでも答えないのである。――で、家臣のひとりが、
「殿のおたずねじゃ。直々でも苦しゅうない。お答えせい」
と、注意した。