輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁

青空文庫

「駈け戻って、いまの老婆を、すぐ城へ伴うて来い。自害せぬよう、眼をはなたず、やさしく、よう宥って」

「はッ」

と、二騎ほど後へ引っ返して行った。――けれど家康が浜松の城門にかかる頃、その二騎はまた忽ち帰って来て、

「真に御賢察のほど、おそれ入りました。あれから急いで老婆の家へもどってみましたところ、果たして仏間を閉め、見事に自害しておりました」

と、告げた。

「間にあわなかったか」

家康はここでもまた、なにか心を痛打された。しかし侍臣には何も洩らさなかった。

後に、一老臣が、

「どうしてあの折、加藤兄弟の老母が、自害すると、お予見がつきましたか」

と、訊ねたのに対して、彼は初めてこう述懐した。

「領主たるわしにむかって、あれほどなことのいえる者は、おそらく譜代の家臣にもないであろう。即座にも、死を決していたからこそ、あの老婆は、思うままを、わしへ訴えられたのだ。――しかも家康は、乱世の武門として、これから行くべき弓矢の大義を訓えられた。くれぐれも老婆の死後はねんごろにいたしてやれ」

彼はまた、家中一統を集めて、こういう諭告を発した。

「近ごろ、伊勢境は鎮まり、織田家とは同盟し、今川氏真はわれに屈して、いささか領土も拡まり、日常、家中一般の生計も、むかしのような窮乏もなくなってから、自然、おのおのの衣食は美をこのみ奢侈