輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
「いわばいえ。何とでも」
唾するように――
「が、長政は、妻の縁につながって、一命を助かろうなどとは、みじんも考えておらぬ由を、立ち帰ってよく申しつたえよ。……それとだ。妻のお市も、いまは信長の妹のお市ではないことを、弾正忠どのへ、得心まいるよう、くれぐれはなして上げるがよい」
「では、どうありましても、この城と共に、御運命を決するおつもりでございますか」
「わし以上に……妻のお市も、そう覚悟しておる」
「……ぜひもございませぬ」
説客の不破河内守は、もうあとのことばもつげず、これまでと、帰ってしまった。
そのあとの城中には、絶望的な――というよりも一種べつな空虚が、陰気にみなきっていた。
和議の使者に、平和を期待した城将や兵の一部が、
(やぶれたか……)
と、気落ちをあらわしたのと、それまでは、死を決していたものにも、ふと、生きのびられはしまいかという気がさしたため、にわかに、前のような結束と決死にもどれない心理になったからであった。
城中が陰気になったのは、もうひとつ理由がある。それは戦時中だが、長政の父久政の仮の葬儀が営まれ、次の日にいたるまで、本丸の奥のほうで、読経の声がもれていたからである。