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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,841 字 · 376 頁
さっきから舌をふるっているのは彼ひとりだった。しかも懸河の弁である。
舌ばかりでない、眼もよく働く。いや五体の端までが、その雄弁とともに、八方の敵へ戦々と鋭敏な気くばりを怠らないのであった。
「…………」
たれも手が出せなかった。
わけて三河守は、自分の責めの重大を感じているし、彼の説くことにも、だいぶ耳を傾けて来た容子だった。一時の驚愕をとりもどして、茶室で見せた彼の落着きになりかけていた。
「一同の者」
ようやく、彼は身をゆるがした。手を遠くへ振って、
「去れ、去れ。彼方へ退いておれ。――ここは三河守にまかせて。――三河守が一身にかえても、若君にお怪我はさせぬ。各※(二の字点、1-2-22)の部署にもどっておるがいい」
と、云った。
そして、藤吉郎へ向って、ことばを改めた。
「のぞみ通り、多勢のものは退けた。このうえは、万寿さまを、この方の手へおわたしなさい。左様な策はおたがいに避けて、信義と信義をもっておはなししよう」
「ならぬ!」
と、つよく頭を振ったが、藤吉郎は一転語気をかえて、
「――それがしは今、こういえます。長政どのの掌中の珠を奪ったから。