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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

……小さくは、それがしの家庭においても、妻にも子にも、甥にも姪にも、左様なことは、人の皮をかぶった者のすることと、日頃より教育もしておりますれば、自身で自身の家風をやぶる儀にも相成りまする。はははは、そんなわけですから、折角の御好誼とはぞんずるが、おはなしの儀は、なかったものと、お忘れくださるように羽柴殿へも、よしなにお伝えたまわりたい。篤くお礼は申しあげる」

「……そうですか。むむ」

肚のそこから唸くように頷くと、官兵衛はすぐ明瞭にいった。

「もはやおすすめは仕らぬ。彦右衛門殿、立ち帰るといたそう」

「ぜひもない」

彦右衛門は、自分たちの努力の至らなかったことを嘆息した。しかしその気持はここへ臨んでからのものである。清水長左衛門宗治は決して利にはうごくまいと観ていたのは、ふたりとも前から予期していたことではあった。

「闇夜は途中が危険。こよいは城内にお泊りあって、早朝にお帰りあってはいかが」

宗治はひきとめた。それも単なる世辞でなくうけとれた。実篤な人物かな。敵ながら正直にそう推服できる。

「いや、主人も返辞を待ちかねておりますれば」

と、使者たちは、松明だけを乞いうけて帰途についた。