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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁
一杓の水
なにか、声を発しないではいられないような気もちに揺りあげられた。
為に、妙覚寺の築土を見ないうちに、ここでも、わっと喊声をあげてしまった。突如として、部隊のさきの方でも、わあっと答え、また金鼓乱鉦を急拍子に鳴らし始めた。
光秀は第三軍にいた。
彼のいるところ即本営といってよい。その本陣は堀川に駐まっていた。一族の十郎左衛門忠秋、御牧三左衛門、荒木山城守、諏訪飛騨守、奥田宮内などに取り巻かれ、床几はそこにおいてあったが、一刻もその床几に倚っていなかった。そして全身を耳にして、雲の声、霧のさけびを望みながら、たえず二条方面の空を見ていた。
刻々、朝雲の紅さは漲っていたが、まだ火もあがらない、煙も見えない。
一杓の水
信長は、ふと眼ざめた。
何に刺戟されたというわけではない。熟睡のあと、いつもの朝のごとく、極めて自然に、醒めかけたのである。
早起きは彼の習性であった。どんなに遅く寝ても、未明に眼をさますことは、若年からの生活が自然に躾けてくれたものだった。それともうひとつ彼には彼特有な習性があった。
眼がさめたとたん――まだ眼がさめたともはっきり意識せず、もちろん枕から顔もあげないうちのことである。