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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

こういう一時の史家の流行説は、戦国武人のために、その寃をここに雪いでおかねばならない。なるほど室町時代を通じての皇室への仕えの怠りは言語道断なものがあるが、信長以後、黎明期の時人は、あきらかな日本的自覚と国家観をすでに呼びもどしていたことを、自分は信じて疑わないものである。

現わされた行為をもって、政治的意識によるとか、経世の方略であるとかいって片づけてしまっては、臣子の赤誠はあとかたもなくなってしまう。彼らの尊皇は、世をあざむくの偽善であるということにもなる。

史家はなぜもっと深く行為の底を流れている本然の血液を観てやろうとはしないのか。伝統すでに二千年、ときには建武の前後、室町末期のごとき、世風の壊敗、人心のすさびなど、嘆かわしい一頃はあったにせよ、皇室への臣民の真心にはかわりはなかった。幕府の為政者にその久しい妄念があれば、その間は、民草の家の一戸一戸のうちに、村々の神社の森の一叢一叢に、その不朽をちかう精神は無言に守られていたのである。

御所の造営とか、何かの御仕え物の献納などでも、それが元就とか、謙信とか、信長とか、時代の代表者によってなされると、史上に記録もされ、批判的な眼で、あらぬ意思まで忖度されたりするが、世にも聞えず、記録もされぬ無名の民草の奉仕にいたっては、絶え間なく限りなく、世代