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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

こういう場合の民心の動揺は、得てして行き過ぎに奔りたがる。

或る者は、

「今からまた、世の中は前のような大乱になるだろう」

と云い、またある者は、

「室町末頃の群雄割拠がふたたび実現する」

と称し、なおその間に、

「もう、どこそこでは、合戦が始まっている」

などと果てしない噂も生じ、いずれにせよ、畿内はもちろん、中国方面でも、関東でも北越でも、地上に戦いの行われない所はなくなるであろう。そしてなお容易には、このまま明智光秀が一夜に取って替ったものを、ゆるすことではあるまいというのが、一般の観測でもあり、また恟々と、明日を怖れる所以でもあった。

そしてその騒然たる不安と浮説は、三日は二日よりも強く、四日は三日よりも濃く、日のたつに従って、全国的なものとなった。――つまり、報道される地域が拡まってゆく相と、それを知ることによって次々に起って来る地方の新しき事件とが、相搏ち、相称え、一波万波のしぶきをいよいよ人心に駆りたてるからである。

で、事変後の数日、その余波のもっとも高そうな人と地理と情勢とを、いまその禍乱を離れて、天下の全面を高所から大観してみると、帰するところ、どこもかしこも、愕きの余りに、