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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,903 字 · 400 頁

青空文庫

小西弥九郎が、それに答え、

「蜂須賀どのは、此寺の一僧をつれて、どこぞへお出かけになりました。多分――」

と云いかけるのを打ち消して、秀吉はまた、

「茂助も見えんか」

と、つぶやき、夜食のお相伴の者を求めるように見まわした。

「その堀尾どのには、実はてまえから御足労をねがって、近村の庄屋寄合いへ、お出向きを願ったので」

と、弥九郎が云い足すと、

「何しに」

と、秀吉は理由を質した。

弥九郎は自分の役儀上、この近村から軍糧の徴発に当っていたが、とかく庄屋や百姓たちのあいだに、不正や非協力的言動が絶えないので、堀尾茂助に行ってもらって、庄屋どもを大いに叱ってもらうつもりで――と、実状を説明した。

「そう百姓たちを狡いものと、頭から見るな――」

秀吉は却って弥九郎を叱った。

「本来、純なものだ。小利は知っても大利を覚らないほど素朴なものだ。また、不正不正というが、これもぜひもないことよ。およそ、戦いの世には、人の神性も飽くまで高く顕われるが、人の弱点や小悪の性も、それと同じ程度に、平時よりも容易に横行しやすい。――その神性はいよいよ昂まるように、その悪質はこれを出ぬようにするのが、まつりごとと申すものぞ。