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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 187,757 字 · 375 頁
――真の、心契の友、刎頸の友というものは、やはり艱苦の中で知りおうた者でなければ生涯を契られますまい」
「それはちと匠作が思いちがいいたしたわい」
「何をな。修理どの」
「いや、お許と筑前とは、もっと深い交わりと存じ、おり入って、一事を托し申したいと思うたが」
「筑前との喧嘩なら、利家、一番槍は御免こうむる。和談なれば、先陣なとおひきうけして見しょうが……。事はちがいますかな」
利家は、云い中てた。――どうです。そういわぬばかりだ。盃をあげながら笑みをふくんでいる。
どうしてそれが彼に漏れたか。勝家はどぎまぎした眼をみはった。――が、よく考えてみると、最初から筑前筑前と話題に出しては利家を試していたのは自分だった。能登にいても、隅にはいない利家である。中央の情勢にも通じ、自分と秀吉とのいきさつにも明るいこの人間が、しかも自分の不時な招きをうけて、この雪中を物ともせず、早速にやって来た以上、それくらいな洞察力もない者と観るのは、こちらの見方が甘すぎていたかもしれない。
勝家は、その反省の中から、利家という者を、もういちど見直すことを余儀なくされた。――将来もいよいよ大事な一翼として、自己の陣営のうちに、この有力な味方を抑えて置くために。