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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
線上閱讀野村 あらえびす《楽聖物語(がくせいものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,667 字 · 381 頁
死の前年
しかし、それにもかかわらず、フランクの作品は、容易に世に知られるには至らなかった。フランクの音楽が地味で、知的で、無用の媚態を持たなかったために、一般人は言うまでもなく、当時の楽壇人も、これを理解するに至らなかったのであろう。
死の前年
死の前年――即ち一八八九年、フランクの大傑作にして、ベートーヴェン以来の大交響曲とも言うべき「交響曲ニ短調」がパリ音楽院で初演された時、当時フランス楽壇に雄飛したグノーはその取巻き一隊と共に来場し、演奏後感想を求められたのに対して、「無能な肯定――」と公言して明らかにフランクを誹謗した。この言葉は、歌劇「ファウスト」の作曲者を決して高からしめてはいないが、以て当時のフランクの作品に対する世評の無慈悲無理解の程度も知るべきである。
この初演を済ませて帰って来たフランクに、家人が演奏の様子を尋ねると、フランクは「ウン、私が予想した通り、よく響いたよ」と応えたという話は、六十八歳の老フランクの淋しい姿を彷彿とさせて涙ぐましくさえある。
翌年早春、「弦楽四重奏曲=ニ長調」が初演され、このとき始めて、フランクの作品に対して理解ある喝采が起った。