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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
線上閱讀野村 あらえびす《楽聖物語(がくせいものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,667 字 · 381 頁
家庭生活
も事実である。その間においてワグナーは畢生の大傑作、――四部作の大楽劇「ニーベルンゲンの指環」のほとんど全部を完成したのである。この「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の四部作はワグナーの楽劇の理想を具現した大傑作であるばかりでなく、実に古今の音楽史上に燦たる大金字塔でもあったのである。
彼の思想はその手法と共に次第に円熟し、高潮した英雄主義には、ショーペンハウエル風の厭世主義が加味され、宿命悲劇の深沈たる暗さが、世界大に拡充される愛の理想と結び付いた。ワグナーの音楽の重圧は、その憩いのない音の大量放射にもよるが、一つはこのギリシャ風な英雄主義と、宿命苦の思想的な重力によるものであろう。
家庭生活
その頃ワグナーの家庭は次第に崩壊していった。ワグナーより四歳の歳上で、「美しくはあるが散文的な女だ」と言われた妻のミンナは、年々ワグナーとの間に、越えることの出来ない溝を深めていったのである。二人は結婚の当日から争いを始め、ワグナーの窮境時代には富裕な男と駈落をやりかけたミンナであったが、追放時代にはザクセン朝廷に出頭して、三度までも夫の赦免を嘆願したミンナでもあった。