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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
線上閱讀野村 あらえびす《楽聖物語(がくせいものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,667 字 · 381 頁
幸福な生涯
その頃組紐業のブルフホルツという人が、ハイドンの窮乏を憐んで百五十フロリン貸してくれたが、後年ハイドンはその恩に酬いるために、遺言状で指定してブルフホルツの孫娘に遺産をわけてやった。
幸福な生涯
ハイドンは音楽家としては、珍しく幸福な人であった。友人に愛され、才能に恵まれ、生活も豊かに、長命をした上に、一つの職業を失えば、必ず次の職業が用意され、その名声は階段的に、次第次第に積み重ねられていったのである。その性格と耳疾の故に一生悩み続けたベートーヴェンや、その天才の故に不幸だったモーツァルトやシューベルトに比べて、なんという大きな違いであろう。
そのハイドンにも、生涯にたった二つの不幸はあった。その一つは夫人が有名なじゃじゃ馬であったことと、青年時代に嘗めた、たった一度の失職苦である。しかし、その苦労も決して長くは続かなかった。作曲家ボルボラの助手として作曲にいそしみ、二十六歳の頃は、モルツィン伯の礼拝堂の音楽長として、最初の交響曲を作曲していた。
二十八歳の時、ハイドンはマリア・アンナ・アロイジア・アッポロニアと結婚した。それはハイドンにとっては、一生の不作を背負い込む不幸であった。