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がくせいものがたり
楽聖物語
野村 あらえびす
線上閱讀野村 あらえびす《楽聖物語(がくせいものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 193,667 字 · 381 頁
不幸な自尊心
十三歳の時ローマのシスティン教会で、合唱隊が門外不出の秘曲「ミゼレーレ」を歌うのを聴いた時、モーツァルトは宿へ帰って来てそっくりそのまま暗記で書き、二度目には、ほんの少しばかり訂正しただけで、完全に秘曲を写譜してしまった。法王はそれを聴いておおいに驚いたが、モーツァルトを罰する代りに、迎えて勲爵士に列したと言われている。
モーツァルトの天才ぶりの鮮やさは後にも先にも類がない。三十五年の短い生涯の間に、二十一曲の歌劇、四十一曲の交響曲、五十八の教会音楽、七十余の管弦楽曲、四十に余る室内楽、九十八のピアノ曲、四十二のヴァイオリン・ソナタ、二十二のピアノ・ソナタ等々実に一千にのぼる曲を書いている。
不断の楽想は泉の如く湧いて、咳唾ことごとく珠の感であった。古今、真の天才というものを求めたならば、音楽界においては、モーツァルトとシューベルトと、それからショパンを推さなければなるまい。バッハやベートーヴェンやワグナーは、単なる天才ではなく、むしろ英雄的な存在で、築き上げられた巨人型であると言うべきである。
不幸な自尊心
この不世出の天才を持ちながら、モーツァルトの生涯はあまりにも不遇であった。