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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

七

板倉屋の人達も、近頃はあの蔵の中へ入れなかったそうです」

「それで解ったよ。八、来い」

「どこです、親分」

平次は八五郎をつれて、板倉屋へ取って返したのです。

七

「八、あの野郎だ」

平次の指さしたのは、裏木戸のあたりをウロウロしている番頭の忠助でした。

「あ、何をしやがるんだ」

八五郎はもんどりうたせられました。忠助は思いも寄らぬ腕達者だったのです。

が、続いて飛びついた銭形平次は、さすがに汗も掻かずにこれを取って押えました。

「この野郎」

その頭を押えて小突き廻したのは、投げられた口惜しさの八五郎です。

「畜生、俺は縛られるが、その代りお萩は死ぬぞ」

平次の膝の下に忠助は歯を剥くのです。

それは実に恐ろしい脅迫でした。

「お萩のいるところは、この俺が知ってるだけだ。俺が口を割らなきゃ、お萩の命は今日一日保つめえ。ざまア見やがれ」

「野郎」

八五郎はカンカンに腹を立てますが、大事な鍵を握られているらしいので、どうにもなりません。

「八、驚くな。俺には見当がついている」

平次は案外落着いておりました。

「どこです、親分」

「あの大きい土蔵の中だ。鍵はここにある。この番頭野郎が持っていたんだ、――お前が行ってもむずかしい、――久治を呼んで来い。