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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

四

「ヘエ、ヘエ」

「その髷切りの曲者は、――据物斬の名人だろうが、髷を切られた武家が、振り返っても姿は見えないそうだ。何処へ逃げるかお前は知ってるだろう――どんな上手な手品でも楽屋から見れば種も仕掛けもわかるものだ」

「土手の下へ転げるように逃げ込みますよ」

「そんな事が出来るかな」

「其処が体術の名人で」

「有難う、それだけ聴かして貰えば大助かりだ」

平次は乞食坊主に丁寧過ぎる礼を言って、小粒を一つ、鉄鉢の中へ追加してやりました。

「橋場の俵右門とわかれば、あとは調べにも及ばないでしょう。引返して道場へ踏込みましょうか」

「威勢は良いが、俺とお前と二人でヤットウの道場へ踏込んだところで、弱い武者修行ほどの働きもむずかしかろう。まアまア黙って俺に付いて来るが宜い」

「ヘエ」

四

其処から直ぐ、左手に軒を並べて、編笠茶屋というのがあります。其処で編笠を借りて冠って、厄介な荷物は預けて、吉原へ繰り込むのですが、渋茶一碗の設備もあり、店には美しい娘などを置いて、客を呼ぶにおろそかはありません。

「御免よ、お前一人か」

柳屋というのへ八五郎が長んがい頤を覗かせると、

「あら八五郎親分」