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ぜにがたへいじとりものひかえ

橋の上の女 ――銭形平次傑作選2

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《橋の上の女 ――銭形平次傑作選2(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 88,573 字 · 178 頁

青空文庫

銭形平次捕物控

一

一

「親分、東両国にたいそうな小屋が建ちましたね。あッしは人に誘われて二三度覗きましたが、いや、その綺麗さというものは」

八五郎は相変らず江戸中のニュースを掻き集めて、親分の銭形平次のところへ持って来るのでした。

「御殿造りの小屋でも建ったのかえ」

「そんな間抜けなものじゃありませんよ。小屋は昔からチャチなものですが、中味が大変なんで、たまらねえほど綺麗な娘太夫が二人」

「馬鹿だなア、まだ松も取れないうちから、両国の見世物小屋へ日参して居るのか」

「日参という程じゃありませんよ、五日の間にたった三度」

八五郎はでっかい指などを折って勘定して居るのです。

「呆れた野郎だ。どうせ十手を見せびらかして、唯で入るんだろう」

「飛んでもない、さいしょは正直に十六文の木戸を払いましたよ。それで『一と目千両』と言われる、お夢の顔を拝んで、達者なお鈴の芸を見るんだから、九百九十九両三分三朱くらいは儲かるようなもので――」

「お前という人間は、よくよく長生きするように出来て居るよ」

「二度目にはあっしという者が、銭形親分の片腕の八五郎とわかって――」

「お前は俺の片腕かい、大したことだな。